京都アニメーションへの放火殺人の容疑で逮捕された青葉真司容疑者(42)。
犠牲者36人という戦後犯罪史に残る大きな被害を及ぼしたこの事件。
死刑になってもなんら不思議のない事件ですが、まさかの無罪になる可能性もあるのではという見方も出ています。
京アニ放火 青葉容疑者無罪の可能性:理由①責任能力
青葉真司容疑者は幼少期から貧しく複雑な家庭環境で育っており、また障害者認定も受けています。
・9歳:両親が離婚、父と暮らす
・21歳:父が病死
・20代:非正規の仕事を転々とする
・2012年:コンビニ強盗を行う。動機は「仕事で理不尽な扱いを受け、社会で暮らしていくことに嫌気が差した」とのこと
・37歳:服役中に精神障害と診断、障害者手帳の交付を受ける
◆参考:JIJI.COM
障害者認定を受けたことで、今回の京アニ放火殺人事件では青葉容疑者の責任能力が争点の一つとなると思われます。
裁判所のホームページには次のような記述があります。
刑罰法規に触れる行為をした人の中には,精神病や薬物中毒などによる精神障害のために,自分のしていることが善いことか悪いことかを判断したり,その能力に従って行動する能力のない人や,その判断能力又は判断に従って行動する能力が普通の人よりも著しく劣っている人がいます。
出典:裁判所HP
刑法では,これらの能力の全くない人を心神喪失者といい,刑罰法規に触れる行為をしたことが明らかな場合でも処罰しないことにしています。また,これらの能力が普通の人よりも著しく劣っている人を心神耗弱者といい,その刑を普通の人の場合より軽くしなければならないことにしています。
これらは,近代刑法の大原則の一つである「責任なければ刑罰なし」(責任主義)という考え方に基づくもので,多くの国で同様に取り扱われています。
過去の殺人事件の中には、被疑者に責任能力がないとして無罪となったケースもあります。
青葉容疑者は既に精神障害があると認定されているため「心神喪失者」もしくは「心身耗弱者」に該当する可能性があり、そうなると減刑、もしくは無罪となる可能性があります。
実際に心神喪失により被疑者が無罪となった事例がこちら。
・2004年:5人死傷事故の被告、心神喪失で二審も無罪に
・2017年:警官2人刺傷で無罪判決 「心神喪失」と金沢地裁
京アニ放火 青葉容疑者無罪の可能性:理由②担当弁護士
青葉容疑者の国選弁護人には、京都弁護士会の遠山大輔弁護士ら2人が選ばれました。遠山弁護士の実績をみると・・・
遠山弁護士は、検察側が死刑を求刑した京都府舞鶴市の女子高校生殺害事件で弁護人を務め、高裁で逆転無罪判決を得た。
出典:朝日新聞デジタル
遠山弁護士が担当した「舞鶴女子高生殺人事件」
2008年、舞鶴市内の雑木林で帰宅途中の女子高生の遺体が発見されました。
わいせつ及び殺人の容疑で中勝美容疑者が逮捕、裁判にかけられましたが、証拠不十分として無罪判決を受けています。
その後2014年に中勝美は大阪市内で殺人未遂事件を犯し、今度は服役となりましたが刑務所内で病死しました。
一般的には「悪いことをする=罰せられる」のが自然な感覚ですが、容疑者の責任能力や弁護士の腕前など、様々な要素が影響するのが刑事事件の世界です。
青葉容疑者はいったいどんな結末を迎えるのでしょうか。
この記事がよかったらシェアしてくださいね。
コメント