東京ディズニーランド・ディズニーシーについて、ほとんどの方はゲスト(客)として遊びに行く立場で利用していることでしょう。
一方でディズニーで働いている方(キャスト)も当然たくさんいます。
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』2020年3月31日放送分では、『“夢の国”スペシャル 知られざる、魔法の秘密』と題してディズニーで働く人々に焦点が当てられました。
番組自体は「いい話」でまとめられていたはずが、キャストの労働現場にみられる闇が物議を醸し出しています。
今回は『プロフェッショナル 仕事の流儀』で放送された内容と、東京ディズニーランド・シーでの労働に関する深い闇に切り込みます。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』ディズニー特集の内容抜粋
番組ではカストーディアル(園内の清掃を行うスタッフ)のMさんと、設備のメンテナンスを担当するFさんの活躍が紹介されました。
特にMさんは、約1000人いるカストーディアルの中でも一目置かれる存在です。
有名カストーディアル Mさんとは
Mさんは園内の清掃を担当すること15年の大ベテラン。毎日園内を歩き回り、その距離は一日に15kmに達することも。
彼女は仕事をする際に色々な工夫をしており、例えば以下のようなことを行っています。
・移動時は体からちりとりを離さない
・ゴミを捨てるときは誰も見ていないタイミングで行う
・異物を見つけたら足で拭く(かがむと客の視界から消えてしまい怪我をさせる恐れがある)
さらにMさんは清掃をするだけでなく、いかにゲストに楽しんでもらうかという点も意識しています。
東京ディズニーランドにはほうきの先に水をつけて地面にディズニーキャラクターの絵を描いてくれるキャストがおり、ゲストから好評を得ています。
その先駆けとなったのがMさん達なのです。
Mさんのサービス精神は一流で、さすがプロフェッショナルですね。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』ディズニー特集で見えた闇とは
番組終盤では、Mさんが15年の勤務を経て社員に登用され、新人に仕事を教える立場になった場面をとらえています。
Mさんは15年間アルバイトだったのです。この事実にネットではざわつきが起こりました。
プロフェッショナル仕事の流儀、東京ディズニーランドで清掃キャストを15年の32歳女性、何度も表彰され、常連ゲストにもよく知られる存在、プロフェッショナル意識にあふれた、同僚からも羨望される存在、そしてアルバイト歴15年。TDRのやりがい搾取の闇しか見えない…
— 在華坊 (@zaikabou) March 31, 2020
「そして、15年バイトで最近正規になりましたというオチでしたね。15年ね」
「アルバイト歴15年。TDRのやりがい搾取の闇しか見えない…」
「娘の友達がバイトに行っていましたが、本当に若者たちに夢を見させては安く搾取する…ある意味あっぱれ」
「そこまでのスキルと根性があるのに正社員になるまで15年アルバイト」
「凄くスキルもやる気もあるのに非正規雇用なんて、ディズニーのやることじゃない」
「ミッキーのなかにいた友人も十数年バイトだったなぁ。気の毒だった」
「先輩が何人か演奏の仕事してましたが、ギャラが上がらない保証は無いは有名でした」
「20年程前、ディズニーで学生バイトをしましたが、一週間の研修でサヨナラしました。20代後半ぐらいのトレーナーの女性に違和感しか抱きませんでした。同時期に働いていた知人も1年程働いて辞めました。仰る通りやりがいの搾取です」
「この手の洗脳、やりがい搾取は闇が深いよね。 社会構造の中で自分はどの位置で仕事や業務を遂行しているのか、またそれに対する賃金や手当てを受けているのか…見えなくなってしまうよね」
「見ていて苦しいです」
「これを称賛する番組は社会悪だと思うのだが」
出典: Business Journal
東京ディズニーリゾートの実態を語る声は他にも…
実際に東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド・ディズニーシーの総称。以下TDR)で働いたことのある方からはこんな声も出ています。
何より驚いたのは、本当にTDRの運営はパートタイマーとアルバイトだけで回っているということです。オリエンタルランド※の社員さんと接する機会はまったくありません。
基本的にベテランのキャストの方たちは『正社員になること』より、『TDRに残り続けて仕事をすること』に重きを置いていて、給料や福利厚生などを口にしません。そんなことを口にすること自体が『世間とは無縁なTDRのイメージにそぐわない』からです。
※オリエンタルランド:TDRの運営会社。
出典: Business Journal
TDRを取材した経験のある記者はこのように語っています。
「ディズニーリゾートではキャストや非正規社員の方々などがユニオンを結成し、運営元に対して労働環境や雇い止めをめぐる問題について団体交渉をしたり、従業員が訴訟を起こすなど、多くの紛争が生じています。実際に過度な業務により病気を罹患したとして労基署が労災を認定したケースもあり、ことさらにディズニーリゾートの労働現場を美化する放送内容には疑問を感じます」
出典:Business Journal
最後に
人の幸せは収入や雇用形態だけで決まるものではありません。
Mさんは仕事にやりがいを見出していますし、過去に何度も表彰され、常連客や同僚からも一目置かれています。
けれども、高い意識をもって活躍しているキャストが15年間アルバイト扱いというのは、果たして会社側は彼女の努力に正当に報いていると言えるのでしょうか。
たとえ時給が上がっていたとしても、社員とは収入も福利厚生も違うはずです。
夢の国の裏に潜む深い闇が見えた話題でした。
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◆参考: Business Journal、togetter、TVでた蔵
◆アイキャッチ画像出典元:Twitter
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